骨粗しょう症とは

骨粗しょう症のイメージ画像

骨粗しょう症とは、骨の量が減少したり、骨の質が低下したりすることにより骨折しやすくなってしまう骨の病気です。骨粗しょう症によって骨がもろくなると、つまずいて手や肘をついた、くしゃみをしたなどのわずかな衝撃で、骨折してしまうことがあります。
人間の骨の密度は若年期にピークを迎え、その後は加齢とともに減少していきます。特に女性はエストロゲンの分泌が低下する更年期以降に骨密度が極端に減少するため、骨粗しょう症にならないよう注意が必要です。また、偏食や極端なダイエット、喫煙や過度の飲酒なども骨粗しょう症の原因と考えられており、最近では高齢の女性だけでなく、若い女性の骨粗しょう症も問題視されています。

骨粗しょう症の検査

骨粗しょう症の診断にあたっては、骨密度の測定、X線検査、身長測定、血液・尿検査などが行われます。このうち骨密度の測定は、骨の強さを判定する際の重要な尺度の1つです。当院では全身型の骨密度測定装置(DEXA)を導入し、骨密度の測定を行っております。この測定法では、高低2種類のX線を測定部位に照射することにより、その透過度をコンピュータで解析して骨量を調べることが出来ます。測定する骨は主に腰の骨、太ももの付け根部分の骨です。短い時間で済むだけでなく、誤差が小さく、放射線の被爆量も少ないため、安全性に優れるというメリットがあります。このためDEXA法は骨量測定における標準的な検査法として、骨粗しょう症の精密検査や、治療の経過観察、また骨折リスクの予測において非常に有用です。
また、X線検査では主に背骨のX線写真を撮り、骨折や変形が無いか、骨がスカスカになっていないかなどを確認します。骨粗しょう症と他の疾患との鑑別に必要な検査です。身長測定は、25歳の頃の身長と比べて、どのくらい縮んでいるかを調べます。25歳時より4cm以上低くなっている場合は、骨折する危険性が高くなるとも言われています。血液検査や尿検査は、骨代謝マーカーを調べることによって骨の新陳代謝の速度を予測します。骨吸収を示す骨代謝マーカーの高い人では骨密度の低下速度が速いため、骨密度の値にかかわらず、骨折のリスクが高くなっていきます。

主な治療方法

食事療法

骨粗しょう症の治療や予防に必要な栄養素は、骨の主成分であるカルシウムやたんぱく質です。さらに、骨のリモデリングに必要なビタミンDやビタミンKを摂取します。これによって骨を壊す働きをする破骨細胞が骨を吸収する一方で、骨を作る働きをする骨芽細胞が破骨細胞によって吸収された部分に新しい骨を作る代謝作用が強まります。カルシウムは食品として700~800mg/日、ビタミンDは400~800IU/日、ビタミンKは250~300μg/日を摂取することが推奨されています。これらの栄養素を積極的に摂りながら、しかもバランスの良い食生活を送ることが大切です。
なお、骨粗しょう症の人が避けるべき食品は特にないと考えている方もいらっしゃるようですが、アルコールやカフェイン、リンなどの摂り過ぎには注意が必要です。お酒を飲み過ぎた状態が続くと、カルシウムの吸収が妨げられたり、尿からのカルシウムの排泄量を増やしたりします。カフェインもカルシウムの排泄を促します。リンを摂り過ぎると、血液中のカルシウムとリンのバランスを保とうとして骨の中のカルシウムが血液中に放出されてしまい、骨密度の減少を招きます。

運動療法

骨は運動をして体重負荷をかけることで増加し、より丈夫になるため、運動療法は骨粗しょう症の治療に欠かせません。さらに筋肉を鍛えることで体をしっかりと支えられるようになり、バランス感覚も向上し、ふらつきが少なくなるため転倒防止にも繋がります。
骨量を増やすには、ウォーキングやジョギング、エアロビクスなど、中程度の強度による運動が特に効果的です。激しい運動をする必要はありません。散歩程度でも有効ですので、可能なら毎日、あるいは週に数回と、とにかく長く継続し、運動量を少しでも増やそうとするこころがけが大切です。

薬物療法

骨粗しょう症の発症には加齢や閉経以外にも食事や運動習慣などが深く関係しています。そのため食事療法や運動療法も骨粗しょう症も欠かせないのですが、骨粗しょう症との診断を受けたときは薬物療法が治療の中心となります。現在使われているお薬には、骨の吸収を抑える骨吸収抑制剤、新しい骨を作るのを助ける骨形成促進剤、腸管からのカルシウムの吸収を促進して体内のカルシウム量を増やす薬などがあります。また、腰や背中などに痛みがある場合は痛みを除去する薬も用いられます。どんな薬を選び、いつから治療を開始するかについては、個々の患者さんの年齢や症状の進み具合などを考え合わせながら医師が判断します。